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3分間の読み物

エアゾール商品からCFCを排除:SCジョンソン社を環境保護へと導いたサム・ジョンソン

昨今、環境責任を看板に掲げる企業がたくさん存在します。環境に対する責任は、もはや正しい行いというだけでなくトレンドと化していますが、
 
昔からずっとそうだったわけではありません。SCジョンソン社は、環境に害のある成分に対し反対する立場をいち早く宣言した企業の1つです。当社の取り組みは4代目経営者であるサム・ジョンソンのビジョンのもと、40年以上前に端を発しました。

社会的責任を担う企業として模範を示す

1975年に、SCジョンソン社は環境に関するリーダーシップをこれまでにない高い水準で示し、化学工業界を驚かせました。業界で初めて、世界中のエアゾール製品へのクロロフルオロカーボン(CFC)使用を禁止したのです。 
 
CFCガスの懸念についてはさらなる研究による実証が必要だと、一部では考えられていたため、これは驚くべき出来事でした。経営者の1人は、SCジョンソン社は「衝動的に」行動する前に、長期的研究によって科学的に立証されるのを待つべきだと反対しました。 

父が製品ラインからCFCを取り除くと決めたのは、それが正しいことで、正しいタイミングだったからである。 
SCジョンソン社会長兼CEO、フィスク・ジョンソン

しかし当時のCEOサム・ジョンソンは、CFCがオゾン層に影響を及ぼしていることの証拠は確実に増えていると感じ、この行動は正当であると信じていました。当時サム・ジョンソンは次のように語っています。「我が社の科学者たちは、『一部のエアゾール容器に含まれるフルオロカーボン噴射剤が、オゾン層破壊を引き起こしている可能性があるとする考え』は科学的な仮説としてあり得ると回答している。」

かくしてサムは行動に移りました。1975年6月17日に、彼は次のように宣言しています。「本日をもって、当社の生産ラインからすべてのフルオロカーボン噴射剤を撤去しました。」
 
1987年にモントリオール議定書が、オゾン層破壊の原因となる化学物質の製造および使用を削減するための国際条約として締結されるよりも、10年以上も前の出来事です。さらにアメリカ合衆国政府がCFCの使用を禁止したのは、この3年後です。

地球を守るための環境ポリシー

この動きによりSCジョンソン社は、CFCの代替がまだ手に入らなかったいくつかの国々からエアゾール事業を撤退させることとなりました。また当時、当社が先頭を走っていた業界である、英国における制汗剤事業からも立ち退きました。

またこの行動により、当社は業界の経営者たちの批判の的となり、サムは向こう見ずで無責任であると非難を浴びました。あるCEOが会議中に立ち上がり、サムが業界全体を「台無しに」していると叫んだ出来事を、彼はよく語ったものです。

しかしサムは自分の立場を固く守りました。 

SCジョンソン社の会長兼CEOであるフィスク・ジョンソンは次のように語っています。「父が製品ラインからCFCを取り除くと決めたのは、それが正しいことで、正しいタイミングだったからです。この決断は、SCジョンソン社が長年の歴史において、人と地球にとって正しいことをするために取ってきた、数多くの選択の1つです。」

正しいことを行い環境責任を果たすため、サム・ジョンソンは全製品からクロロフルオロカーボン(CFC)を撤廃しました。

「便利なエアゾール処方の製品を好んでご使用いただいていたお客様には、今後もそれら製品を信頼してお使いいただけることを約束します。」 – サム・ジョンソン

行動の裏には環境への考慮があることを説明

SCジョンソン社はCFCに関して、ひとり静かに行動に出るのではなく、あえて活動家のスタンスをとりました。変革を宣言し、業界に対してあとに続くよう呼びかけたのです。サムはページいっぱいに決断理由を書いた広告を出しました。成分に関する責任と教育について、まさに最高の教訓を与えたのです。

決断内容に加え、当社はそれを裏付ける科学的証拠の要点も共有しました。さらに、エアゾール製品がすべてCFCを含んでいるとは限らず、多くの製品は心配なく使用できることも明確に言及しました。 

当時エアゾールは、業界をまたいで数多くの便利な製品に使用される非常に効果的な処方でしたし、今後もそれは変わらないでしょう。私たちは人々を恐怖に陥れたり、業界や他社に疑いの目を向けたかったのではありません。純粋に、私たちの決断と、その背景にある考えを説明したかったのです。 

1975年にニューヨーク・タイムズに掲載された当社の広告は、こう説明しています。「不安と科学的疑問が消えない今、消費者と大衆の皆様のためを思い、私たちはこのような行動をとっています。弊社の製品容器のラベルを、次のような文言を追加して変更する予定です。『自信をもってご使用ください。フロン、その他オゾン層を破壊するフルオロカーボンを一切使用していません。』」

最終的に、CFCの撤廃は間違いなく正しい行いでした。それから20年後、サムが決断を下す上で信頼した科学的研究が、1995年ノーベル賞を受賞したのです。 
 
またサムの選択は、業界にとっても良い結果をもたらしました。当社の科学者の発見により、最もコストの低いガスに分類される、プロパンとイソブタンがCFCの有力な代替であることが分かりました。SCジョンソン社は結果として、エアゾール製品に費やすコストを何百万ドルも削減することができ、競合企業が追いついてきた頃にはすでにCFCフリーの製品で定評を築いていました。
 
環境、ビジネス両方にとっての勝利をおさめたこの出来事により、経済上の懸念と環境への懸念を表裏一体のものとして扱うサムのコミットメントが、有益なものであると証明されました。今日においてもこのコミットメントは、私たちの行動の指針です。 
 
当社は今後も、Greenlist™プロセスに則り、責任ある原材料の選択を率先して行なってまいります。業界最先端の成分開示によって、当社製品に何が入っているのかをお客様に知っていただけるよう努めます。また必要なときには、それが当社に利益をもたらさない方法であったとしても、環境にとって正しい選択をします。
 
そして何よりも、私たちは科学が導く方向を進みます。私たちが下す判断はいつも正しいとは限りませんが、常に入手しうる中でベストな研究に基づいて行動することを心がけます。そしてたとえ他の人々が動かなかったとしても、必要だと思ったときは行動に起こします。