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6分間の読み物

ウィングスプレッド:フランク・ロイド・ライトが設計した最大規模のプレイリースタイルの住宅は、ジョンソン家の自宅

当社の名を地図に載せたフランク・ロイド・ライトの名作、アドミニストレーションビルだけでなく、3代目経営者のH.F.ジョンソン・ジュニアは、自宅の設計もライトに依頼しました。  
 
1939年に完成したこの邸宅は、ウィングスプレッドと名付けられました。

ウィングスプレッドは比類ないプレイリースタイルの住宅

1939年に完成したウィングスプレッドは、周囲の草原と美しく調和し、たくさんの窓や天窓から暖かい日の光がさんさんと降り注ぎます。フランク・ロイド・ライトはウィングスプレッドを「最後のプレイリーハウス」と呼びました。
 
フランク・ロイド・ライトは20世紀前半に、人間が自然と共に暮らすという自身の建築哲学の基礎を確立しました。彼が設計した「プレイリースタイル」の住宅は、この概念を実体化したものです。このスタイルは水平のラインと低い屋根が特徴で、地域の自然と調和する素材を使用しています。
 
ライトはプレイリースタイル建築を徐々に進化させ、リビングルームとダイニングルームなど人の集まるスペースを1つにまとめた「オープンプラン」の間取りを多く設計するようになります。このデザインは、自然な人の流れを作り、住人を自室から中央の共用スペースへ引き込むことを目的としていました。 

空から眺めたフランク・ロイド・ライト設計の「ウィングスプレッド」
ウィングスプレッド(広げた翼)という名は、家の中心となる広間から4つのゾーンが翼を広げるように伸びていることから付けられました。  写真:マーク・ヘルツバーグ提供
水平なラインと無塗装の木材が特徴的なフランク・ロイド・ライトの建築
水平のラインと無塗装の木材を使ったウィングスプレッドのデザインは、12万平方メートルの敷地に広がる周囲の自然と調和します。

天井からの雨漏りと、ライトの「率直な自己主張」

「率直な自己主張」で知られたライトは、どのような理由があっても自分の許可なしにウィングスプレッドに手を入れることを許しませんでした。しかし、斬新なデザインの中での生活が困難になってきたと、H.F.ジョンソンは繰り返しライトに説明しています。

こうしたやり取りは今も伝説として残っていますが、何といっても印象的な逸話は、やはりウィングスプレッドの屋根から雨が漏れたことでしょう。 

4代目経営者のサム・ジョンソンが語った逸話があります。彼が13歳のときに公式なディナーパーティーの席で、急な豪雨と共に天井から雨水が漏れて、中央の席にいたH.F.ジョンソンの頭に降り注ぎました。

怒りに駆られたH.F.ジョンソンは、アリゾナ州フェニックスにいるライトにその場で電話をかけました。そしてライトに対し、ウィングスプレッドは美しいが、屋根に穴が空いており頭の上に水が落ちてきたぞと叫びました。

ライトも叫び返し、受話器から大きな声が響いたとサムは言っています。「それなら、椅子を動かせばいいだろう!」と。

「そのような住みにくさはあったものの、父や姉と私にとっては楽しいわが家でした」と、サムは語っています。

フランク・ロイド・ライトが設計したH.F.ジョンソン・ジュニアの自宅「ウィングスプレッド」の内部
「グレートホール」と呼ばれた建物中央のリビングスペースには、5つの暖炉を備えた大きな柱がそびえ立っています。その柱をネックレスのように取り囲む天窓からは、暖かい日の光が降り注ぎます。 
「そのような住みにくさはあったものの、父や姉と私にとっては楽しいわが家でした」と、サムは語っています。

SCジョンソン社4代目経営者、サム・ジョンソン

フランク・ロイド・ライト設計の「カラスの巣」展望台
ウィングスプレッドの屋根にある「カラスの巣」展望台には、らせん階段を使って上ります。
H.F.ジョンソン・ジュニアとフランク・ロイド・ライト、ウィングスプレッドにて
H.F.とサム・ジョンソン、ウィングスプレッドにて

ジョンソン財団が所有する珠玉の建築

ウィングスプレッドはジョンソンファミリーが1950年代に暮らした家です。永遠のインスピレーションの源となることを願い、教育会議施設としてジョンソン財団に寄付されました。H.F.ジョンソンは、より健康的な環境と地域社会を築く専門家を招く機関として、ジョンソン財団を設立しました。
 
50年以上にわたり、ウィングスプレッドでは数多くの会議が開かれ、国立芸術基金や国際刑事裁判所、ナショナル・パブリック・ラジオなど、さまざまな組織や団体がここで誕生しました。
 
1989年、ウィングスプレッドはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。

フランク・ロイド・ライト・ツアー:ウィングスプレッドを訪れる

ウィングスプレッドは、ウィスコンシン州ラシーンの本社から北へ約8キロメートルの位置にあります。アドミニストレーションビルとリサーチタワーを見学にお越しになり、近くにあるウィングスプレッドにもぜひお立ち寄りください。ジョンソン財団では、事前にご予約いただいた方への無料開放ツアーをご用意しています。

ウィスコンシン州にあるウィングスプレッドと8つの名所を紹介したフランク・ロイド・ライト・トレイルのアプリも旅行計画に便利です。AppleのApp StoreまたはGoogle Playからダウンロードできます。

お客様と社員の安全を確保するため、SCジョンソン社は、引き続きグローバル本社キャンパスでの対面ツアーやプログラムを一時停止します。

新型コロナウイルス(COVID-19)に関する懸念を踏まえ、対面プログラムが再開する日は未定です。引き続きFacebookのVisit SC Johnson
で最新情報を提供します。