H.F.ジョンソン・ジュニア、フランク・ロイド・ライト設計のウィングスプレッド

ウィングスプレッド:フランク・ロイド・ライトが設計した最大規模のプレイリースタイルの住宅は、ジョンソン家の自宅

 フランク・ロイド・ライトが設計した住宅の中でも、H.F.ジョンソン・ジュニアの依頼で建てられたウィングスプレッドは、1,400平方メートルの敷地を持つ名建築です。
フランク・ロイド・ライトは、ウィングスプレッドを「最後のプレイリーハウス」と呼びました。現在はジョンソン財団の拠点となっています。ウィスコンシン州ラシーンにあるこの邸宅は、今も内部を見学できます。
当社の名を地図に載せたフランク・ロイド・ライトの名作、ジョンソン・ワックス社本社ビルだけでなく、3代目経営者のH・F・ジョンソン・ジュニアは、自宅の設計もライトに依頼しました。
 
1939年に完成したこの邸宅は、ウィングスプレッドと名付けられました。
空から眺めたフランク・ロイド・ライト設計の「ウィングスプレッド」
ウィングスプレッド(広げた翼)という名は、家の中心となる広間から4つのゾーンが翼を広げるように伸びていることから付けられました。  写真:マーク・ヘルツバーグ提供
1939年に完成したウィングスプレッドは、周囲の草原と美しく調和し、たくさんの窓や天窓から暖かい日の光がさんさんと降り注ぎます。フランク・ロイド・ライトはウィングスプレッドを「最後のプレイリーハウス」と呼びました。
 
フランク・ロイド・ライトは20世紀前半に、人間が自然と共に暮らすという自身の建築哲学の基礎を確立しました。彼が設計した「プレイリースタイル」の住宅は、この概念を実体化したものです。このスタイルは水平のラインと低い屋根が特徴で、地域の自然と調和する素材を使用しています。
 
ライトはプレイリースタイル建築を徐々に進化させ、リビングルームとダイニングルームなど人の集まるスペースを1つにまとめた「オープンプラン」の間取りを多く設計するようになります。このデザインは、自然な人の流れを作り、住人を自室から中央の共用スペースへ引き込むことを目的としていました。
水平なラインと無塗装の木材が特徴的なフランク・ロイド・ライトの建築
水平のラインと無塗装の木材を使ったウィングスプレッドのデザインは、12万平方メートルの敷地に広がる周囲の自然と調和します。
ウィングスプレッドを建てる際、ライトはカソタ・ライムストーンやレンガ、しっくい、無塗装の木材を使って、家をしっかりと大地に固定しました。そして、高さ9メートルの煙突やたくさんの天窓を空に向かって開きました。周囲の広大な草原や森林、渓谷に自然に溶け込むような建築です。

その見事な設計の特徴を挙げると、ネイティブアメリカンのテントを思わせる形で採光用の高窓が付いた天井、5つの暖炉、娘のカレンのために作られた片持ち床の「ロミオ&ジュリエット」バルコニーなどがあります。また、ガラス窓で囲まれた「カラスの巣」展望台もあり、息子のサムと娘のカレンは父の帰りを待ってここから外を眺めたかもしれません。
(上) : 「グレートホール」と呼ばれた建物中央のリビングスペースには、5つの暖炉を備えた大きな柱がそびえ立っています。その柱をネックレスのように取り囲む天窓からは、暖かい日の光が降り注ぎます。
下部 : ウィングスプレッドの屋根にある「カラスの巣」展望台には、らせん階段を使って上ります。
フランク・ロイド・ライトが設計したH.F.ジョンソン・ジュニアの自宅「ウィングスプレッド」の内部

「率直な自己主張」で知られたライトは、どのような理由があっても自分の許可なしにウィングスプレッドに手を入れることを許しませんでした。しかし、斬新なデザインの中での生活が困難になってきたと、H.F.ジョンソンは繰り返しライトに説明しています。

こうしたやり取りは今も伝説として残っていますが、何といっても印象的な逸話は、やはりウィングスプレッドの屋根から雨が漏れたことでしょう。

そのような住みにくさはあったものの、父や姉と私にとっては楽しいわが家でした」と、サムは語っています。
SCジョンソン社4代目経営者、サム・ジョンソン
4代目経営者のサム・ジョンソンが語った逸話があります。彼が13歳のときに公式なディナーパーティーの席で、急な豪雨と共に天井から雨水が漏れて、中央の席にいたH.F.ジョンソンの頭に降り注ぎました。

怒りに駆られたH.F.ジョンソンは、アリゾナ州フェニックスにいるライトにその場で電話を掛けました。そしてライトに対し、ウィングスプレッドは美しいが、屋根に穴が空いており頭の上に水が落ちてきたぞと叫びました。

ライトも叫び返し、受話器から大きな声が響いたとサムは言っています。「それなら、椅子を動かせばいいだろう!」と。

「そのような住みにくさはあったものの、父や姉と私にとっては楽しいわが家でした」と、サムは語っています。
H.F.ジョンソン・ジュニアとフランク・ロイド・ライト、ウィングスプレッドにて
H.F.とサム・ジョンソン、ウィングスプレッドにて
ウィングスプレッドはジョンソンファミリーが1950年代に暮らした家です。永遠のインスピレーションの源となることを願い、教育会議施設としてジョンソン財団に寄付されました。H.F.ジョンソンは、より健康的な環境と地域社会を築く専門家を招く機関として、ジョンソン財団を設立しました。
 
50年以上にわたり、ウィングスプレッドでは数多くの会議が開かれ、国立芸術基金や国際刑事裁判所、ナショナル・パブリック・ラジオなど、さまざまな組織や団体がここで誕生しました。
 
1989年、ウィングスプレッドはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。

ウィングスプレッドは、ウィスコンシン州ラシーンの本社から北へ約8キロメートルの位置にあります。ジョンソン・ワックス本社ビルと研究棟を見学にお越しになり、近くにあるウィングスプレッドにもぜひお立ち寄りください。ジョンソン財団では、事前にご予約いただいた方への無料開放ツアーをご用意しています。

ウィスコンシン州にあるウィングスプレッドと8つの名所を紹介したFrank Lloyd Wright Trailアプリも旅行計画に便利です。AppleのApp StoreまたはGoogle Playからダウンロードできます。

予約する 
ウィスコンシン州ラシーンにあるフランク・ロイド・ライト設計の歴史的な本社ビルを見学に訪れる際は、ぜひウィングスプレッドにもお立ち寄りください。見学ツアーは無料です。
ツアーを予約する

建築SCジョンソン社の建築

ツアーフランク・ロイド・ライトが設計したSCジョンソン社の建物:ぜひ会社見学ツアーへ

ツアーFAQ:見学ツアーのご計画には、SCジョンソン社見学ツアーに関するFAQをご覧ください

建築SCジョンソン社キャンパスに華を添える、受賞歴を誇る名建築:Fortaleza Hall

ツアーSCジョンソン社へお越しください:ツアーへのご参加を検討中のお客様へ、詳細情報をご案内しております。

会社FAQ:SCジョンソン社に関する質問への答えとお問い合わせ

その他の記事

その他の記事

その他の記事