ファクトシート:SCジョンソン社の建築
1930年代から1950年代にかけて、3代目経営者のH.F.ジョンソン・ジュニアは建築界の巨匠フランク・ロイド・ライトに設計を依頼し、ウィスコンシン州ラシーンにあるSCジョンソン社のグローバル本社キャンパスを一新しました。
ライトがSCジョンソン社のために設計した最初の建築は、1939年完成のアドミニストレーションビルです。その後、1950年にリサーチタワーがオープン。さらに、1939年完成の「ウィングスプレッド」と呼ばれるジョンソンファミリーの自宅もライトが設計しました。
1936年:H.F.ジョンソン・ジュニア、SCジョンソン社アドミニストレーションビルの設計をフランク・ロイド・ライトに依頼。
1938年:H.F.ジョンソン・ジュニアとその家族の自宅としてフランク・ロイド・ライトが設計したウィングスプレッドの建設を開始。
1939年:アドミニストレーションビル開業。
1943年:フランク・ロイド・ライト、SCジョンソン社リサーチタワーの設計図を提出。
1950年:リサーチタワー開館。
1959年:ウィングスプレッドをジョンソン財団に寄付。
1967年:もともとは1964年の万博でSCジョンソン社の展示物として建てられたThe Golden Rondelle劇場を、ジョンソン社本社キャンパスに移設。
1976年:アドミニストレーションビルとリサーチタワー、アメリカ合衆国国家歴史登録財に指定される。
1986年:アメリカ建築家協会が選ぶ建築デザイン成功例ベスト10に、アドミニストレーションビルとリサーチタワーがランクイン。
2006年:SCジョンソン社会長兼CEOのフィスク・ジョンソン、フォスター・アンド・パートナーズ社の建築家ノーマン・フォスターにFortaleza Hallの設計を依頼。
2010年:Fortaleza Hall開館。
2011年:ライトが手がけた建造物を展示するため、フランク・ロイド・ライト財団との長期借入契約に合意。
2012年:SCジョンソン・ギャラリー:「At Home with Frank Lloyd Wright」にて、入れ替えでさまざまな展示品を公開。
2014年:リサーチタワーの一般向け見学ツアーを開始。
2015年:シカゴ建築バイエニアル展2015の地域スポンサーとして、フランク・ロイド・ライトが設計した当社のキャンパスを巡る、建築愛好家向けの特別ツアーを開催。
2017年:SCジョンソン社、ウィスコンシン州南部に建設されたライト設計の9つの歴史的建築物をつなぐFrank Lloyd Wright Trailの開通を祝う式典の舞台に。
2017年:シカゴ建築バイエニアル展2017の冠スポンサーとして、SCジョンソン社はグローバル本社キャンパスの無料見学ツアーを再開。

概要:SCジョンソン社アドミニストレーションビル
- 依頼者:H.F.ジョンソン・ジュニア
- 設計:フランク・ロイド・ライト
- 完成:1939年
- 20世紀を代表する建築25選に選ばれました。
- ビル内の「グレートワークルーム」は2,000平方メートルを超える広さで、高くそびえ立つ柱で知られています。
- ライトはグレートワークルームの柱を、「樹木の形」を意味する「デンドリフォーム」の名で呼びました。その変わった形状から、「マッシュルーム」や「ゴルフのティー」、「睡蓮の葉」などとも呼ばれています。
- 柱は床に接する部分の直径が約23cmで、天井部分では約560cmに広がります。
- ビルの曲線部分を作るために約200種類の赤褐色の特製レンガが作られました。ふちの部分にはカソタストーンが使われています。
- ガラス管を使った「窓」は、光を屈折させて眩しさを抑えるためにライトが設計したものです。ビルの端から端まで積み重ねたパイレックスガラス管の長さは、合計約70kmにも及びます。
- ライトはSCジョンソン社のために40点以上のオリジナル家具を設計しました。
概要:SCジョンソン社リサーチタワー
- 依頼者:H.F.ジョンソン・ジュニア
- 設計:フランク・ロイド・ライト
- 完成:1950年
- これまでに作られたカンチレバー構造の建築物の中でも特に高い建物です。
- 高さは46.5mで、直径約4mのコア部分が地下16mまで埋め込まれています。
- タワー自体は一辺が12mの正方形をしています。
- 15階建てのリサーチタワーのすべてのフロアは、植物が主根で枝を支える様子に似た「タップルート」構造のコアで支えられています。
- 15フロアのうち6フロアは正方形で、それぞれに円形の中二階が付いています。また、2階部分も正方形のフロアでできています。
- 5,000本以上のパイレックスガラス管が窓の部分に使用されています。
- レイド、グレード、オフ!、プレッジなどのブランドは、すべてこのタワーで開発されました。
- SCジョンソン社は、1982年以降はこのビルを研究棟として使用していません。建築基準法の変更により、ビルを使用し続けるには非常用の外階段の設置が必要になったためです。
概要:Fortaleza Hall
- 依頼者:フィスク・ジョンソン設計:ノーマン・フォスターおよびフォスター&パートナーズ設計事務所。
- 完成:2010年
- SCジョンソン社の歴史を紹介する「レガシーギャラリー」や、レストラン、フィットネスセンター、銀行、コンシェルジュサービス、社内売店などを備えた社員専用スペース「ザ コモンズ」を備えています。
- サム・ジョンソンが1998年のブラジルへの飛行で使用した、双発水陸両用飛行機S-38のレプリカが展示されています。
- SCジョンソン社ギャラリーでは、「At Home with Frank Lloyd Wright」と題し、定期的に展示品を入れ替えてフランク・ロイド・ライトの作品を紹介しています。
- 740平方メートルにわたる白いコンクリートにブラジルヤシの森を点描で表現した壁画は、H.F.ジョンソン・ジュニアが1935年の探検旅行の際に撮影した写真をモチーフにしました。
- サムの探検旅行をたどる地図を多円錐図法で表現し、床に埋め込みました。サステナビリティに配慮して収穫された4種類の木材を19,200個使用したモザイク状の地図です。
- 館内の北側と南側にある大階段はH.F.ジョンソン・ジュニアとサム・ジョンソンに捧げられたもので、2人の名言が刻まれています。
- 曲線状の3つのベンチは、H.F.ジョンソン・ジュニアとサム・ジョンソンが探検で訪れた場所を表現しています。サステナビリティに配慮して収穫されたアメリカ産のブラックウォルナット材を使用して制作しました。
- 壁面緑化はパトリック・ブランの作品で、主に中南米に生息する79種の植物およそ2,500点を使用しています。
- 立体的な音のベールで空間を包むサウンドスケープは、アメリカ海洋大気庁(NOAA)のデータにリンクしたコンピューターが生みだす、ラシーンの天気と時間にシンクロさせたブラジルのサウンドです。その日その時に合わせたオリジナルな音が楽しめます。
概要:ライト建築の見学ルート
- ウィスコンシン州ケノーシャ郡からリッチランド郡へ向かうおすすめルート。次の場所が含まれます。SCジョンソン社のアドミニストレーションビルとリサーチタワー(ラシーン)、ウィングスプレッド(ラシーン)、バーナム地区のアメリカン システム ビルド ホーム(ミルウォーキー)、モノナテラス(マディソン)、ファースト ユニテリアン ソサエティ会堂(マディソン)、タリアセン&フランク・ロイド・ライト ビジターセンター(スプリンググリーン)、ワイオミングバレー スクール カルチャーアートセンター(スプリンググリーン)、A.D. ジャーマン ウェアハウス(リッチランドセンター)。
- SCジョンソン社のラシーンキャンパスの南にはイリノイ州オークパークやシカゴの街があり、ここにもフランク・ロイド・ライトの自宅や仕事場、ロビーハウスといった数々の有名建築物が残されています。
見学ツアー
- SCジョンソン社は本社キャンパスの無料ツアーを開催しています。
- 詳しくはウェブサイト(scjohnson.com/visit)をご覧ください。